今起きていること
2025年9月、日銀は政策金利を 0.5 % のまま据え置く方針を決定しました。 
ただし同時に、これまで保有してきた ETF(上場投資信託)など資産の一部を売却する方針 も打ち出しており、これは日銀が “量的緩和の縮小” に足を踏み出すシグナルとも受け取られています。 
この決断は、「これ以上の利上げは慎重に」というスタンスを示した反面、金融政策の“後退”という新たな局面を示唆しており、今後の日本経済、株式・為替・家計への影響が注目されます。
なぜ今このような政策判断をしたのか?
2-1. 利上げ継続 vs 据え置きのジレンマ
• 過去、日銀は物価上昇圧力を抑えるために利上げを行ってきましたが、現在は利上げ → 景気冷え込みのリスクも強く懸念されます。
• 実際、8月のコアCPI(生鮮食品を除く指数)は前年同月比で 2.7 %上昇 し、上昇率は9か月ぶりに3 %を下回る水準に鈍化。 
• ただし、物価水準が目標の2 %を上回っている状況は続いており、インフレ抑制の観点からの圧力も残ります。 
2-2. ETF売却という「量的緩和の後退」
• 日銀はこれまで、株式市場の安定化を意図してETFを買い入れてきましたが、今回売却方針を打ち出したことで、「出口戦略」の端緒と見られています。 
• これは、無限の緩和を続けることには限界があるという認識の表れとも読み取れます。
2-3. 国際・マクロ要因の重み
• 円安圧力も有利子負債企業には逆風となる可能性。
• また、米国の利下げ観測や、グローバルな金利動向、輸入物価の高騰などが国内インフレや為替に影響を及ぼす複雑な構図。
私たち(家計・投資家)への影響
3-1. 為替・輸入価格の動向
ETF売却や将来的な利上げ示唆があると、円がやや強く反応する可能性も。現時点では円は売られ気味ですが、今後の展開によっては反発余地も。 
輸入品(燃料、原材料、食料など)の価格には依然として上昇圧力が残っており、家計負担は続きそうです。
3-2. 住宅ローン・借入金利
現金利状況が変動しづらい局面ではありますが、「金融引き締め方向の期待」があると長期金利に影響が出る可能性も。
そのため、今後ローンを組む・借り換える人は、金利予測にも注意しておきたいところです。
3-3. 株式市場・資産運用
• 日銀がETF売却をし始める=株式市場への「支え」が減る可能性 → 一部の銘柄・セクターに影響が出るかも。
• ただし、企業業績が堅調ならば調整後も資金流入が続く可能性はあります。
今後の見通し・注目ポイント
・利上げ余地
タカ派委員2人が利上げを主張していたものの、今回は見送られた。
次回(10月末?)に利上げが視野に入るか注目。
・ETF売却ペース
どのくらいのペースで売却を進めるか(市場への影響度)
・輸入インフレ
原油・穀物など国際価格の変動が国内物価に影響を与え続ける可能性
・政治体制交代
新政権の財政政策・産業政策が金融政策との兼ね合いで注目
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