みなさんは、太陽がどうやって光っているか知っていますか?答えは「核融合(かくゆうごう)」という反応です。軽い原子同士がくっついて、重い原子になるときに大きなエネルギーを出す仕組みです。
もし地球でも同じことができれば、石油や石炭に頼らず、クリーンでほぼ無限のエネルギーが手に入るかもしれません。その夢にチャレンジしているのが ITER(イーター) という世界的な実験プロジェクトです。
ITERはどこにあるの?
ITERはフランスの南の方に建設されています。日本をふくむ35の国と地域が協力してつくっていて、「人類が力を合わせて未来のエネルギーを作る」象徴ともいえるプロジェクトです。
ちなみに「ITER」という名前は、英語の「国際熱核実験炉(International Thermonuclear Experimental Reactor)」の頭文字でもあり、ラテン語で「道」という意味もあります。つまり「未来のエネルギーへの道」という意味が込められているんです。
ITERは何を目指しているの?
ITERのゴールは、「入れたエネルギー以上のエネルギーを取り出すこと」です。
具体的には、50万kWの力を入れて、500万kW分のエネルギーを作り出す、つまり 10倍の出力 を目指しています。
ただし、ITERはまだ「実験炉」。電気を実際に作って送るわけではなく、まずは「核融合って本当に地球でうまくいくの?」を確かめることが目的です。
仕組みはどうなってるの?
ITERは「トカマク」と呼ばれるドーナツ型の装置を使っています。
• 真空に近いドーナツの中に、燃料(重水素と三重水素)を入れる
• 1億度以上に加熱して、プラズマという特別な状態にする
• 磁石(超伝導コイル)でそのプラズマを閉じ込める
• 核融合が起こり、大量のエネルギーが発生する
太陽を地球上に小さく再現する、というイメージですね。
どんな課題があるの?
核融合はとても魅力的ですが、簡単ではありません。
• 温度が1億度以上必要(太陽よりも高温!)
• その高温を「磁場」で閉じ込めないといけない
• 実験装置が巨大で、建設や費用がとても大変
• 放射性の燃料(三重水素)を安全に扱う必要がある
だからこそ、各国が協力して挑戦しているんです。
今どこまで進んでるの?
• 2025年に「初めてのプラズマ(First Plasma)」を作る予定です。
• その後、燃料を入れて本格的な核融合実験を行い、2030年代には「入れた以上のエネルギーを出す」ことを狙います。
• さらにその先の「DEMO(デモ炉)」という次世代装置で、やっと本当に電気を作れるようになると期待されています。
まとめ
ITERは「人類が太陽の力を再現する」壮大な挑戦です。
まだまだ課題は多いけれど、もし成功すれば、温暖化やエネルギー問題を大きく解決できるかもしれません。
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