核融合の未来と関連企業 — 太陽の力を地球で再現する挑戦

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はじめに

いま、世界では「核融合(かくゆうごう)」という夢のエネルギー技術が、いよいよ現実味を帯びています。
核融合は、太陽が光り続ける仕組みを地球上で再現する技術。もしこれが実用化されれば、石油や石炭に頼らない、ほぼ無限のクリーンエネルギーが生まれます。

地球温暖化、電力不足、再エネの不安定さ…。そのすべてを根本から変える可能性があるのが、核融合です。
本記事では、核融合の「これから」と「関わる企業たち」について、やさしく解説します。

核融合とは?簡単におさらい

核融合とは、軽い原子がくっついて重い原子になるときに、エネルギーを放出する反応です。
たとえば、水素の仲間である「重水素」と「三重水素」を1億度以上に熱して融合させると、ヘリウムと大量のエネルギーが生まれます。

この「1億度以上」という条件が非常に難しく、長年にわたって研究が続けられてきました。
しかし、近年は超伝導磁石やAI制御技術の進歩により、ようやく“実験段階の壁”を越えようとしています。

核融合発電のメリット

核融合は「夢のエネルギー」と呼ばれるだけの理由があります。
• ☀️ CO₂を出さない:発電時に温室効果ガスが発生しない
• ♻️ 燃料が豊富:海水中の水素からとれる重水素を利用できる
• 🔋 安定供給が可能:天候に左右されない
• ☢️ 核分裂と違って暴走しない:事故リスクが小さい

つまり、太陽のようにクリーンで安全、しかも安定して動く発電所を作ることができるというわけです。

世界が動き始めた:核融合の最新動向

世界では、国家プロジェクトから民間企業まで、核融合への投資が急速に拡大しています。

🌍 国際プロジェクト「ITER」

フランスで建設中の**ITER(イーター)は、35カ国が協力する世界最大の核融合実験炉。
「入れたエネルギーの10倍を出す」という目標で進められています。
2025年に「初プラズマ」、2030年代に本格稼働を目指しています。
核融合実験施設 「ITER」とは?

💡 アメリカのベンチャー企業たち
• Commonwealth Fusion Systems(CFS):マサチューセッツ工科大学(MIT)発の企業。強力な磁石技術で注目されています。
• Helion Energy:マイクロソフトと電力供給契約を締結。2028年までに稼働を目指すと発表。
• TAE Technologies:ビル・ゲイツやGoogleが出資。独自の「フィールドリバース」方式で挑戦中。

🇯🇵 日本の取り組み

日本も実は、核融合研究で世界トップクラス。
• 量子科学技術研究開発機構(QST)による「JT-60SA」実験炉が茨城県那珂市で稼働を開始。
• 三菱重工、日立、東芝エネルギーシステムズなどがITER関連の主要装置を製造。
• 京都フュージョニアリングというスタートアップも注目株で、国内外の投資を集めています。

核融合関連の注目企業まとめ(株式投資視点)

分類主な企業特徴
🔩 技術・装置三菱重工業、日立製作所、東芝エネルギーシステムズ超伝導磁石や真空容器などITER関連装置を製造
🧪 ベンチャー京都フュージョニアリング、Helion Energy、CFS小型・商用炉を目指す先端スタートアップ
⚡ 電力・インフラ東京電力HD、中部電力、関西電力将来の電源多様化への布石として注目
💰 投資・素材住友電工、日本製鋼所、古河電工超伝導材料・高耐熱金属を供給可能

株式市場ではまだ「核融合関連銘柄」は発展途上ですが、技術が進めば次の成長分野として注目される可能性があります。

まとめ

核融合はまだ“実験段階”ではありますが、確実に一歩ずつ前へ進んでいます。
次の時代のエネルギーを担うのは、太陽の力を再現する“人工の太陽”。
その挑戦を支える企業や技術が、未来の社会を形づくることになるでしょう。

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